鈴木 孝征 代表取締役社長
Q1.この会社のことを簡単に教えてください。
当社は、半世紀ぶりの新しい産業用電子ビームである、半導体フォトカソード電子ビームのサプライヤーです。

「電子ビーム」といっても、なかなか馴染みがないかもしれません。身近に触れることはあまりないのですが、実はいろいろな産業分野で使われている、とても重要な基盤技術なんです。
例えば、半導体製造やライフサイエンスなどの分野。ナノレベルでモノを観たり、加工するのに使われています。

その電子ビームですが、現在、産業分野では、ほぼ半世紀にわたって同じ原理が使われ続けています。つまり研究開発は成熟し、原理上、飛躍的に性能を上げられなくなってきている。一方、アプリケーション側、例えば半導体製造等のニーズは、それとは無関係にどんどん高度化していく。そのため、現在の電子ビームでは対応できない状況を迎えているのです。
このような中、当社はこれまでと全く違う原理を使うことで、従来では実現不可能な高性能の電子ビームを実現しています。これが、半導体フォトカソード電子ビームです。そしてサプライヤーとして産業界に供給することで、幅広い産業の未来を創造しています。
Q2.会社立ち上げのきっかけを教えてください。
大学で半導体フォトカソード電子ビームを研究していた西谷(現 当社取締役)との出会いが始まりです。
7年ほど前に遡るのですが、当時、私は大学の技術移転部門で技術の事業化をしていました。たくさんの案件を発掘する中で、当時、同じ大学で研究者として半導体フォトカソード電子ビーム技術を研究していた西谷と出会いました。
西谷の技術ですが、掘り下げれば掘り下げるほど奥深い。
例えば、強い独自性と競争力。半導体材料、光学、機械、真空、高電圧などの学際領域で育んできており極めてユニークである、そしてこれまで名だたるメーカーが解決できなかった課題をブレークスルーもしていました。
もちろん事業としても面白く、先ほどお話したとおり、「従来の電子ビームでは対応できないニーズが顕在化し始めている」という明確な事業機会がありましたし、将来の事業の広がり※1も申しぶんありませんでした。

そして、西谷と「技術の事業化」という点で共感できたことは、もっと大きかったと思います。西谷は「何とかして自分の技術を産業に還元したい」という想いを持ち寝食を忘れて研究・開発に打ち込んでいました。一方、私は「大学技術の事業化の社会的意義※2」に情熱を傾けていました。そして何度も議論しお互い理解を深める中で、主体性とスピード感をもって事業化するために、我々で会社を立ち上げて進めることにしました。

※1:Q4をご参照ください。
※2:Q3をご参照ください。
Q3.そもそも、なぜ大学発の技術に着目していたのでしょうか。
例えばStanfordからGoogle、名古屋大学から青色LEDなど。大学の技術やコミュニティから、革新的な企業や製品が産まれた事例は枚挙にいとまがありません。 私は、こういう尖った技術と人材たちが次の世界を創っていくことを、無邪気な言い方ですがカッコいいと感じる人間です。
そして、何より社会的にとても意義深い。大学で培われた技術は、日本という国が時間とお金をかけて育ててきた技術とも言えるでしょう。これをきちんと事業化し産業に貢献していく。そして、その過程で産まれる経済的価値や学術的課題を大学に還流させていくというサイクルはとても重要だと考えています。
Q4.事業内容とその魅力は
電子ビームは、いろいろな産業の基盤技術です。 世界に先駆けて次の電子ビーム技術を押さえることで、広範な分野に事業展開できると考えています。 その上で、今注力しているのは半導体製造分野。

市場規模、成長性、ビジネスモデルなど、当社の成長にふさわしい要素が揃った市場です。ここで事業基盤をさらに固めながら、数年後には他分野へと次々に展開していく計画です。

現在のプロダクトはハードウェアが中心ですが、将来的にはこれにとどまりません。例えば、データ事業。当社技術でしか観察・分析できない新規素材群について、当社がそれらの性質や機能のデータを網羅的に取得、ライブラリー化しお客様に提供させていただくなどです。もちろんハードウェアと組み合わせた形態もあり得ます。
つまり、当社事業の醍醐味は基盤技術を押さえることによる事業の広がりです。これは、事業ターゲットはもちろん、事業形態も含んだ広がりです。当社メンバーはもちろん、出資者や事業パートナーなど、当社がご縁をいただいている皆さんに魅力を感じていただいているポイントです。
Q5.一緒に働くメンバーに期待することは?
成長する意欲と能力を持ちづつけること。
当社は短期間で急激に成長している企業です。これは、メンバーの成長によって成し遂げられています。各自が今持っている力を発揮しているのはもちろんですが、常にその先を、貪欲にチャレンジし続けている結果が今です。これから入社される方々にも、ともに成長し当社の歴史を築いていくことを期待しています。
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